【歌舞伎】平成30年3月国立劇場 尾上菊之助初役で「髪結新三」!

国立劇場,尾上菊之助

何年か前、菊之助の勝奴を見た。

あれは何年の上演で誰の髪結新三かと調べたら、直近で菊之助が下剃勝奴を演じたのは2011年11月の新橋演舞場。この時の髪結新三は、当然菊五郎。

「大幹部の髪結新三もいいけれど、実年齢に近い生きのいい新三も見てみたい」と思ってから早7年。ようやく、菊之助の髪結新三が実現しました。しかも初役。

家を出る前に、予習で「髪結新三」の動画を見ました。九代目中村勘九郎の「髪結新三」、「弥太五郎源七」は仁左衛門。「家主長兵衛」に富十郎。劇場は歌舞伎座。いつの上演かわからないけれど、この三人のアンサンブルが素晴らしかった。特に「家主長兵衛」の富十郎。出てきた時から「新三」が嫌な顔をしている。「嫌な奴が出てきた。早く帰って欲しいと」いう感情が全身から滲み出てる。貫禄十分な富十郎の「家主長兵衛」が仕立てに出て上手いこと新三を乗せ、徐々にマウントポジションを取っていく辺りのリアリティ。

今回は、菊之助の「髪結新三」、亀蔵の「家主長兵衛」、團蔵の「弥太五郎源七」。役者のパワーバランスが役にも反映された素晴らしいアンサンブル、は期待すべくもないか。まずは神妙に勤めてもらいたい。