【上野・ランチ】「天丼まことや」で「天丼」と「ランチビール」ゆったりとした時間が流れる、大人のランチ

2020年11月18日

吉池の裏に残る、かつての御徒町

上野、御徒町、池之端界隈。
かつて文豪が闊歩した、一大盛り場。
ビルが増えたとはいえ、現代もそこかしこに面影が残る。
ここ、吉池の裏にも。
住所でいえば、台東区上野三丁目28-5。
ここに、「え、こんな店がこんなところに?」と驚くような店構えの飲食店が、軒を連ねているのだ。
「とんかつ蓬莱屋」「寿司源」「佃煮漬物上野大和屋石田商店」。
四方をビルに囲まれながら、この通りだけ精々二階の建物。
「天丼まことや」も、二階家だ。

八月の終わり。
残暑厳しい。
昼下がり。
夏の日差しを反射して、白い暖簾が眩しい。
引き戸を開け、店に入る。

先客は三人。
カウンターに一人。
テーブルに一人。
カウンターに座り、メニューを見る。
店の外にメニューが出ており、それで大体当たりはつけていたが、改めて見る。
鱧天丼も気になるが、やはり最初は基本を押さえておこう。
天丼を注文。
ついでにランチビール。

後からお客さんが二人入ってきた。
一人は、テーブル客の連れだ。
まだ注文をしていなかったらしく、自分の後に注文。
後から来た一人客も注文を済ませる。

ビールを飲みながら、店内を見渡す。
生ビールは、タンブラーで提供。
泡がきめ細かい。
相当、気を入れて注いでいるみたいだ。
甘味を感じるが、切れがいい。
久しぶりに、こんな旨い生ビールを飲んだ。

店内を見まわす。
老舗、なのか。
昨日今日の建物ではない。
ただし、店主は若く見える。
40代か。もしかしたら30代。
天井に、桜の皮などをつかっている。
贅沢な造りだ。
前は別の店が入っていて、居ぬきでそのまま引き継いだのか。
色々と想像をめぐらしてしまう。

海老天、鱚天、ししとう天、かぼちゃ天、ナス天、山茸天。
どれもからりと揚がっている。
他のお客さんが歯を入れる「サクサク」とした音までこちらに聞こえてくる。
クリスピーなだけではなく、中はふっくら。
ししとうは、ピーマンと見まごうくらいの大きさ。
山茸は、キノコの総称?
舞茸だと思って食べていた。

天丼だが、ビールのアテとしてもよし。
ビール残り半分は、天丼と一緒に飲み干した。

付け合わせは、お新香。
赤だしの味噌汁。

食べ終わって出入り口に目をやると、白い暖簾の向こうに夏のキラキラした日差しが見える。
まだ時間も早い。
このまま、上野のお山を登るもよし。
日本橋、銀座方面まで足を延ばしてもよし。
この店では、普段のせかせかした時間とは、違うゆったりとした時間が流れているような気がした。