【古典芸能】最初に聞くか最後に聞くか

主に落語家、浪曲家、講談師の話である。

スタジオジブリの社内報「熱風」平成30年4月号から。
講談師神田松之丞さんのインタビューの中に。

やはり、千秋楽近くなると声が枯れてくるものである。
松之丞さんはまだ若いからそれほどでもないが、やはり枯れてくる。
それなりと歳の、喉があまり強くない芸人さんは、目に見えて(耳に聞こえて? そんな慣用句があるかどうかは謎だが)枯れてくるものらしい。

歌舞伎など、多人数でやる芸能はさほどでもないのかもしれないが、やはり枯れてくる、「声でてないな」という時はある。
一人で喋る芸能ならばなおさらだろう。
お茶一杯くらいなら用意してあるのを見たことがあるが、ペットボトルでゴクゴクって訳にもいかないだろうし。

常人でも喉は大事。
風邪はたいがい、喉からやってくる。
ちょっと口を開けて寝てしまった日には、口中はガラガラ。
喉はいがいが。
複式呼吸ができていない人は、ちょっと演説ぶったりカラオケでハッスルしてしまっただけでも喉をやられたりする。

インタビュー記事の中で言っていたが、立川志の輔師匠なんかは喉があまり強くないらしい。
そういえば、のど飴のCMしてたな。
あれは龍角散だっけか。
CMのきっかけは、喉があまり強くないところからだろうか。

その理屈でいえば、長年浅田飴のCMをしていた永 六輔さんも、喉が弱かったという理屈になる。
根拠はまったくないが。

さて。古典芸能最初に聞くか最後に聞くか問題である。
これは、声が水水しいうちに聞くか、枯れてから聞くか、という問題である。
結論からいくと、水水しいうちにだろうと思う。
多人数がでてある程度のアンサンブルが必要な芝居ならともかく、一人でやる芸だ。
ネタの初出しなら千秋楽の方が練れているということもあるだろうが、それだって客の入りや質により左右されるだろう。
だが、声はやはり水水しい方がいい。
枯れた声が悪いとはいわない。
実力があり楽しませてくれることが確実な芸人なら、声が水水しいにうちに聞いておいた方が損がない。
あ。毎日寄席に通える、通ってネタの違いや声の違いが楽しめる通人か暇人なら話は別だ。
存分に通って楽しみたまえ。

こと一人でやる芸能に関しては結論が出た。

では、歌舞伎はどうなのか。
これは難しい問題だ。
初日は、芝居が出来上がってないこともある。
だが逆に、出来上がってないが故の緊張感が、よい結果を生むことがある。
中日の辺りが練りあがってきて面白いこともある。
逆に、ちょっと中だるみしてしまうこともある。
千秋楽が完璧に仕上がってきていることもある。
だが、息切れしてしまっていることもある。

舞台も生き物だ。
やはり、自分の都合で、自分の見たいときに見るのが一番いい。

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Posted by ちえ