【ビール】サントリー「海の向こうのビアレシピ」オレンジピールのさわやかビール[カリフォルニアスタイル]ってどんな味?

2020年11月14日ビール,サントリー,酒税法

オレンジの酸味と苦味が、夏のビールとしてぴったり!キリっと冷やしてゴクゴクのめちゃう!

コンビニで見かけたサントリーの新商品「海の向こうのビアレシピ オレンジピールのさわやかビール」(長い!)を購入。
もう少し甘いのかと思ったけれど、苦味と酸味のバランスがよく、これからの暑くなる季節にぴったりの飲み物だと思いました。
この日の肴、「あじの南蛮」の酸味にもよく合う!


原材料にコリアンダーシードと書いてあるから、もっとパクチーの香りが強いのかと思ったけれど、それは色々な香りに紛れて感じず。
パクチー苦手な人にもお飲みいただけます。
(コリアンダー=パクチーです。念のため)

ビールテイストの飲料だけど、これって本当はリキュール類、もしくは発泡酒だよね?

ところで気になったこと。
なぜなら、酒税法でオレンジピールの使用は認められていないから。
ベルギービールなど、本国ではビールと見なされているお酒も、日本に輸入すると発泡酒扱いになるのは、副原料によるため。
ドイツのビール純粋法まではいかないけれど、日本のビールの定義は「麦芽、ホップ、水+法定副原料(麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でん粉、糖類又はカラメル)」。
少なくとも、オレンジピールは入っていない。
ところが、缶を見たら・・・・・・「生ビール」の文字が書いてある!!!
そういえば、「2018年新定義ビール」とか「オレンジピールのさわやかビール」とか、缶のデザインにビールの文字が踊っている。
いままであればNGな表示のはず。
「ど、どういうこと!?」と、驚きながら調べてみた。

すると、驚愕の事実が!!!

平成30年4月1日から酒税法改正!副原料の枠が大幅に拡大!

なんと、平成30年4月1日から、副原料として認められる品目が大幅に拡大していた。
サントリーをはじめ、大手各社は「新定義ビール」として、一斉に新商品を発売したらしい。
認められた副原料は、次の10品目。

①果実
②コリアンダー・コリアンダーシード
③香辛料(胡椒、山椒等)
④ハーブ(カモミール、バジル等)
⑤野菜
⑥そば・ごま
⑦含糖質物(蜂蜜、黒糖等)・食塩・みそ
⑧花
⑨茶・コーヒー・ココア(これらの調製品を含む)
⑩かき(牡蠣)・こんぶ・わかめ・かつお節

ただし、追加できる副原料の重量の合計は、麦芽の重量の 5 %まで。
香り付けや味付けを目的とする、の但し書きつき。

とはいえ、今までのビールの定義がゆらぐことは間違いない。
なぜこんなことになった。

鍵は平成35年の酒税率改正!
ビールもビールっぽい飲み物も、税率は等しく1キロリットル当たり155,000円!

ビール、発泡酒、新ジャンルの酒税率は平成35年10月に統一される。
今までビールの価格が他のジャンルに対して高かったのは、税率が高かったからというのも一因。
それが、ビールも発泡酒も新ジャンルも、同じ税率に変更される。
(ちなみに新ジャンルとは、発泡酒増税後にビール会社が開発したビールテイスト飲料。「ホップを原料の一部とした酒類で一定のもの」と定義されている)。
普段は発泡酒で特別な時にはビールと、ビールと発泡酒の間でイメージの格差がついた状態で税率が一定になりビールと発泡酒の価格差が無くなれば、当然消費者はビールに流れる。
「発泡酒」「新ジャンル」は歴史的使命を終え、次第に規模を縮小させていく。
となると、困るのはビールメーカー。
設備投資も無駄になり、今まで売れていた「発泡酒」というジャンルを手放さねばならない。
また、税率の格差がなくなると、材料費等で「発泡酒」と「ビール」は戦わねばならなくなる。
「安い」というイメージのついた「発泡酒」は実質値上げせざるならなくなるが、安易な値上げは消費者離れを余儀なくされる。
利益率は落ち、売り上げも落ちる。
では、どうしたらいいのか。
今まで「発泡酒」と言って安く出していた飲み物を「ビール」といって値上げしちゃえばいいんじゃね?
どうせ普通の消費者はビールと発泡酒の違いなんか知らないし。
むしろ高級志向をあおれて、ビールは減税しても現状価格を維持。
実質値上げでメーカーの実入りが増えるというもの。

「発泡酒の税率を実質値上げする代わりに、新しく、ビールを名乗れる法定副原料の追加を認めましょう」という取引が、国税局と大手ビールメーカーの間であったんではなかろうか

というのは筆者の邪推ですがw
ビールと発泡酒の価格差がなくなる。
その前段階として、ビールと発泡酒のイメージ差を無くしておこうというのが、今回、平成30年4月1日の「ビールの製法の緩和」の意図なのではないかと思いました。

製法の違いと意図を、曖昧にするのはよろしくない。
「ビール=高級、発泡酒=低級」というイメージに乗せられることなく、消費者は主体的にアルコール飲料を選ぶことを求められる。

日本のビールメーカーは努力しているのは存じております。
ビールが売れなければ発泡酒、発泡酒が増税されれば新ジャンル。
飲酒に厳しい目が向けられるようになればノンアルコール・ビールと、生き残りを掛けて商品開発を行ってきたことも重々承知しております。
今回の酒税法改正の下で、副原料が拡大され「ビール」の幅が広がるのならば、そこで新たな定義の「ビール」という新商品を出す。
メーカーとして全うな姿勢だと思います。
だからこそ、今度は消費者の番です。
「安くて酔えればいいんだろう」と安易な方向に流れるのではなく、製法の違いと意図を理解し、主体的にアルコール飲料を選んでいただきたい。
「ブーム」としてではなく「文化」としてアルコールに接していただきたいと、常々思うわけです。


参考文献

酒税法改正p919-950(PDF)
P925(表 2 )発泡性酒類、醸造酒類及び混成酒類(基本税率)に係る酒税の税率の改正内容( 1 ㎘当たり)
P932 ビールの定義の改正 
P935 発泡酒の定義の改正

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