【秩父】パリー食堂で『ソースカツ丼』 秩父路で出会った故郷会津の味

新型特急ラビューで飲み鉄の旅

友人と、新型特急ラビューで飲み鉄の旅。
池袋に集合して酒を買い、ラビューに乗りこむ。
ゆるゆると飲みながら、静かに2人で近況を語る。

目指すは秩父。
池袋から、新型特急ラビュー乗って1時間40分ほど。
秩父での目的は2つ。
1つは、たから湯で唐笠天井を見る事。
もう1つは、パリー食堂でご飯を食べる事。

昭和2年創業 パリー食堂

昭和2年の建物は文化庁の登録有形文化財に指定されている

西武秩父駅から徒歩7分。
秩父神社の表参道、番場通りの肉の安田屋を左に曲がったところにあるパリー食堂
趣ある外観は昭和2年建築。
創業も昭和2年。
最初はカフェーとしての創業で、その時の名前はカフェー・パリー
建物は有形文化財になっていて、登録名もカフェー・パリー
カフェーといっても、今の喫茶店のようなものにあらず。
女給がいてお酒の相手もしてくれるといく、もう少し大人なお店だった。

令和2年から3年にかけての朝の連続テレビ小説「おちょやん」の主人公、千代が働いていたことで、昭和初期のカフェーがどういったものだったのか、お茶の間にも少しは知れ渡ったものと思う。

現在のパリーは食堂。
昭和2年の建築で、建て替えをしていない外観も含めて、雑誌やテレビにも紹介される有名店。
お昼時には観光客が押し寄せる。
同道した友人が、最近古い建物に興味があるらしく、今回の初訪問とあいなった。

実は、前から建物は知っていたがあまり興味はなかった。
建物が古いだけで、普通の食堂だと思っていたからだ。

オムライスもあるけれどソースカツもあるよ

パリー食堂の名物はオムライス。
といっても何か奇をてらったものではなく、いわゆる普通のオムライス。
特長といえば、付け合わせにフルーツがてんこ盛りで乗ってくること。
ネットで写真をみると、バナナ、いちご、メロン、ミニトマトと、なかなかに豪華だ。
しかし、この日はオムライスの気分にあらず。
なんとなくカツ丼にしようかとメニューをみたら、ソースカツ丼があるではないか。

秩父の別の名物に、わらじカツというものがある。
豚肉を薄く叩きのばして、わらじ大にしたものだ。
だが、このソースカツ丼はわらじカツとは違うらしい。
ソースカツ丼といえば会津の名物。
会津出身のわたしとしては、ここは頼んでおかなければならない。

蓋つきのどんぶり ゲンコツ大のカツが3枚

注文から15分ほど。
ソースカツ丼が運ばれてきた。
蓋つきのどんぶり。
青いどんぶりには、白抜きの平仮名で「ぱりー」と入っている。
グッズで売り出せば、観光客が買いそうだ。

「ぱりー」と平仮名で店名が入っている丼

常々、どんぶり物には、蓋が欲しいと思っている。
この蓋を取る瞬間も、ごちそうの内だ。

カツは、げんこつ大のものが3枚

カツは、ゲンコツ大の物が3枚。
ご飯とカツの間にキャベツはなし。
その辺りが、会津のソースカツ丼との差異か。

ソースカツ丼の起源

そもそもソースカツ丼の最古の記録は大正2年。
ヨーロッパでの料理研究留学を終えた福井県出身の高畠増太郎が、東京の料理発表会で披露したとある。
その後、高畠増太郎は早稲田鶴巻町にヨーロッパ軒という洋食屋を開き、そこでソースカツ丼を提供した。
ちなみにこのヨーロッパ軒は、福井県に移り現存する。

こういった食べ物の起源は、誇張や勘違い、判然としない部分も多く、鵜吞みにはできない。
いずれにしても大正時代ごろに東京で生まれた、というのは間違いなさそうだ。

ハイカラな料理として、東京で修業した料理人が、故郷に持ち帰っていったのではなかろうか。

今もソースカツ丼が残る場所は内陸部が多い?

料理人とともに故郷に帰っていったソースカツ丼だが、定着していまも名物としている場所はそれほど多くはない。
主に関東、東北、内陸部が多い。
福井市は海に面しているが、ここは発案者が創業した洋食屋が現存する場所だから、またちょっと事情が異なる。

秩父も会津も内陸 山に囲まれた盆地で育まれたソースカツ丼

秩父も会津も内陸部。
盆地と呼ばれる、比較的平たんな土地に栄えた都市だ。
四方を山に囲まれているが交通の要衝で、大正昭和初期と大いに栄えた。
秩父には武甲山がそびえ、会津には磐梯山がそびえる。

そして現在も、市内のあちこちに大正ロマン昭和モダンを思わせる建物が残っている。

ふたつの土地は、どこか似ていやしないだろうか。

だからこそ自分は、なにかにつけ秩父に通ってしまうのかもしれない。

1杯のソースカツ丼の中に、秩父と会津の共通点をみた

しみじみと会津のことを思いながら、ソースカツ丼を味わう。
付け合わせの漬物も良い感じだ。
コップのビールを飲み干し、最後はお茶で締める。

会計を終えて外へ出ると、いつの間にか行列ができていた。
振り返り、パリー食堂の建物を眺める。
最初はただ友人に連れられてきた店だが、いまは会津を秩父をつなぐ大事な店に思えてくる。

いつまでも営業していて欲しい。
そう思いながら、番場通りの雑踏を歩き出した。

観光客のいるお昼時は込み合う。逆に観光客が帰ってしまう夜は穴場
取材も多く、芸能人のサインも多数
暖房は石油ストーブのみ

お店情報

店名パリー食堂
住所埼玉県秩父市番場町19−8
営業時間11:30~20:00

ソースカツ丼が食べたくなったらお取り寄せもできますよ~

会津のソースカツ丼ですが、肉もソースもお取り寄せできますね。

ついでに、蓋つきのどんぶりも買っちゃったりして。
天丼、親子丼なんかでも使えます。
見た目の豪華さがアップ!



西武池袋線

Posted by ちえ